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【産業用ロボットの最先端テクノロジー】ABB協働ロボットで市場拡大を目指す

製造業の現場に導入が進む産業用ロボット。働き手不足を解消しつつ生産効率を高めてくれる産業用ロボットは、これからどこへ向かってゆくのだろうか? 多国籍企業のABBは、人とともに働くことができる協働ロボットなどで、日本市場でのシェア拡大を目指している。

メイン画像:アルミ構造材メーカーで稼働するABBの協働ロボット(出典:ABB)

製造業を下支えする
産業用ロボット

日本国内の工場を取り巻く状況は、日増しに厳しさを増している。人手不足、特に経験豊かなベテラン従業員の減少が進むうえ、人件費が高騰している。電気料金も高止まりしたままで、この傾向は今後も続く見通しだ。その一方で、製造業の国内回帰がみられる。大企業においては新技術・新製品などの新たな価値を生み出す拠点、中小企業では多品種少量生産や短納期生産対応のための拠点として、国内工場が見直されている。

そんな混とんとした環境下にある製造業を下支えしているのが産業用ロボットだ。日本は世界有数の産業用ロボット大国。1969年に川崎重工業が国産初となる産業用ロボットを発表し、いまでは世界をリードする存在だ。そうしたなか、産業用ロボットの世界4大メーカーのひとつ、ABB(本社・スイス)は、日本国内で脈々と事業を継続してきた。そこで今回、産業用ロボットの最近の動向を中心に、ABB株式会社ロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部長の浅利貴さんにお話をうかがった。

「大きなトレンドとしては『人手不足』。そこから目を背けることはできません。ですから工場の自動化は、これからも常に求められ続けることになるでしょう。それに加えて近年はSDGsという考え方が定着し、産業用ロボットメーカー自身も含めて、工場にも対応が求められています。効率的な生産を行うだけでなく、働く人や地球環境・地域環境への負荷低減、それに社会への貢献が求められる時代になったのです。

生産現場の動向としては、近年の工場は、これまでより人とロボットが近付いている、といえます。その理由のひとつとして、協働ロボットの普及を挙げることができます。人間と同等の細かい作業ができて人と隣り合って働くことができる協働ロボットが、さまざまな生産現場で導入されているのです。それと同時に、産業用ロボットの協働ロボット化が進行しています。2013年12月の規制緩和により、一定の条件を満たせば高出力(80kW以上)の産業用ロボットであっても安全柵で囲わずに使用できるようになりました。これにより協働ロボットではない産業用ロボットと人との協働も可能になり、より効率的な工場運営が可能になりました」。

協働ロボットの先駆け
2015年に発売

協働ロボットといえば、2015年にABBが「世界初の真の協働ロボット」として発売した「YuMi」が先駆的な存在である。安全に基づいた設計思想が貫かれた「YuMi」は、人間と極めて近い距離で作業できる。コンパクトで人間によく似た形状であり、動きも人間に近いことから、ともに働く人間を不安にさせることがないという。

「ユニークな双腕型14軸の仕様であり、柔軟性の高いハンド、カメラによる部品の位置認識、リードスループログラミング、最高水準のモーションコントロールなどの充実した機能により、あらゆる小型部品の組み立て、検査、マテハンなどの環境に対応します。弊社はYuMiを発売してから8年間、着実に使いこなしのノウハウを蓄積してきました。それにより『YuMi』はあらゆる産業での人との置き換え作業や医療研究室の自動化などでも活躍しています。のちに単腕型の協働ロボット「GoFa」も発売しました。こちらは高い可搬重量を誇り、2023年6月には、可搬重量10、12kgを市場投入し、より多くのお客さまのご要望に対応できるようになりました。

一般的に、協働ロボットは作業スピードが遅い、と考えられていますが、ABBの協働ロボットは、SafeMoveという成熟した安全ソリューションの活用によって、ロボットが自己位置を認識し、動作監視、ツール監視、停止監視、速度制限を行うことで、安全性と生産性の両立を実現します。安全が担保された環境では、産業用ロボットに匹敵するスピードで安全に作業をすることができるのです」と浅利さんは胸を張る。

YuMi(協働ロボット)


「YuMi」はユニークな双腕型の協働ロボット。軽量ながらも強じんなマグネシウム製骨格を有しており、フローティングプラスチック製ケーシングは、衝撃吸収のためのパッドで覆われている。だから人は安心して、ロボットと並んで作業できる。

最大11kgの
高可搬質量と高速作業

もうひとつの生産現場における変化は「産業用ロボットの協働化」だ。産業用ロボットの協働化を実現するABB製品には、2021年2月に4kg可搬、2023年6月に11kg可搬がデビューした「SWIFTI」が挙げられる。リスクアセスメントに基づき安全柵なしで稼働することを前提としたロボットで、最大11kgの高可搬質量と高速作業の組み合わせにより、生産効率を最大44%向上させることができる。

「ABBはグローバル企業であり、最先端を行くテクノロジー企業です。世界中の多様なユーザーニーズに対応できる豊富なポートフォリオを誇ります。それでいて日本では、工場の困りごとを解決する力が高く評価されています。『自動化したいが、どこから始めたら良いかわからない』、『他社で断られてしまった……』という案件をABBが解決できた例が多数あります」。

SWIFTI(産業用ロボットの協働化)


安全レーザスキャナとABBの協働安全ソフトウェア「SafeMove」を統合。リスクアセスメントに基づき安全柵を設置することなく、安全な協働環境を実現することが可能。レーザスキャナが「SWIFTI」の動作領域内の作業者を検出すると「SafeMove」ソフトウェアはロボットを自動的に減速させるか、または完全に停止させる。作業者が離れると動きが回復し、作業領域が完全に確保された後、産業用ロボット同等のフルスピードに戻る。また、ロボットの向きに応じてスキャナの検出距離をリアルタイムに変更可能。

ユーザーとの距離の近さが
ABBの強み

意外かもしれないが、実は日本におけるABBの強みは「ユーザーとの距離が近いこと」だと浅利さんは言う。その象徴が「FlexPicker オールインワン・パッケージ」。日本のお客さまからの要望を反映させて、ピッカーをあらかじめフレームに組み込み、さらにコントローラー、カメラなどをセットアップしてパッケージ化している。いまでは食品メーカーのほか、医薬品メーカー、日用品メーカーなど、多様な製造現場で使われる、日本発のヒット商品へと成長を遂げた。

長期トレンドを考慮すれば、工場は自動化をより加速すべきだ。ちょうど2024年2月、ABBは「YuMi」を含む「実機見学&自動化相談会」を東京・愛知・大阪で開催する。工場の自動化に興味を持っている方はぜひ、参加してほしい。これ以外でも、見学を随時受け付けている。

FlexPicker オールインワン・パッケージ



日本におけるABBの強みを体現する「FlexPicker オールインワン・パッケージ」は届いたその日に配線して組み付けできる。日本の狭小な作業現場にも簡単に設置できる。


FACTORY JOURNAL vol.1(2024年冬号)より転載

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